老いと、肥えと、ステージと。
かつて長渕剛さんが語ったという「人の前でパフォーマンスをやる人間にとってデブは敗北」という言葉を、思い出さずにはいられなかった。
さいたまスーパーアリーナで行われた、ガンズ・アンド・ローゼスの来日公演。会場を埋め尽くした数万の人々のなかで、僕と同じ思いを抱いた人は意外と多かったのではないかと思う。
「アクセルよ、スラッシュよ、ずいぶんお腹大きくなったね…」
あの頃と変わらない体型に加えて、加齢によるダンディズムさえ纏ったダフ・マッケイガンの傍らで、アクセル・ローズとスラッシュの変貌ぶりは、往年のファンを少なからず落胆させていたと僕は思う。
全盛時と同じテンションで、同じパフォーマンスを見せろとは言わない。歳をとることは、決してネガティブな側面ばかりあるわけではない。ただステージに立つ人間である以上、数万の観客から数万円ずつ徴収する男気がある以上、パフォーマンスはもちろん、自らの容姿にも充分気を使うべきだと思う。長年バンドを愛し続けてきたファンを、自らの不摂生によって落胆させるべきではない。
華奢な体躯ながら、稀有なカリスマ性と圧倒的なパフォーマンスが魅力だったアクセル・ローズが「健全に」時間を重ねていたとしたら、今ごろはすごく魅力的なミュージシャンになっていたと思うのになぁ。あくまでも容姿の話しかしていないけど、ちょっとさみしくなってしまった。
ダフが自ら証明しているように、老いと肥えは、決してイコールで結ばれるものではない。誰でも平等に歳はとるのだから、その歳月に裏打ちされた円熟味のようなものを、せめて纏っていけたらいいなと思う。
(まあ、以前にも書いたようにライブ自体はものすごく楽しかったんだけどね…)