冬の、白い光を撮る。

2月に入り、まだまだ寒い日は続くけど、少しずつ春の予感を感じている。

そう思う理由はひとつで、光が、徐々に冬のそれではなくなってきていると言えるから。

写真を本格的に撮り始めてから、冬の光は他の季節に比べて圧倒的に白いということを知った。東京に住む人なら分かると思うが、夏よりも冬のほうが富士山が綺麗に見えるし、シルエットもはっきりと確認できる。きっとそれと同じ原理で、冬の光は混じり気が少なく澄んでいるため、景色が綺麗に見えるのだろう。

何の変哲もない公園のベンチ、昨晩の喧騒が嘘のように静まり返った繁華街の裏路地、無機質な壁に囲まれた工事現場の重機。冬の白い光が降ることで、そのどれにも素敵な表情が浮かび上がる。

街の写真を印象的なものにしたいと願うなら、冬の、白く透き通った光と仲良くなるべきだと思う。

ところで僕はと言うと、寒い季節はなんだか悲しくなるからあまり好きじゃないんだけれど。